Interview

子供の名前が由来のデザイン 


 
ここは高台にある閑静な住宅地。中でも美しいフォルムの曲線が印象的な1軒の欧風住宅は、他にない存在感を放っていました。今年めでたく第三子が誕生し、5人家族となったSさんご一家のお宅です。はち切れんばかりに元気なお子さん達に続き、温和そうなご夫妻が笑顔で迎えてくださいました。


 お伺いした先から聞いてみたい事柄がいっぱい。まずは一番気になった円柱について質問してみました。卵型をした茶色の円柱は、驚くことに「土管」。今ではコンクリート製になり変ってしまいましたが、これは昔ながらの陶製土管なのだそうです。「まず見かけないでしょう?工事中は横たわっている土管を見て、下水工事でも始まるのかと、近所の人たちも不思議がっていました(笑)。閉鎖的な印象を受ける門柱が嫌いで、かと言って開けっ広げなのもちょっと…と思っていたところに、これですよ(笑)。私たちも驚きました。でも、植物もいろいろ植えられて、いいんですよ」
 

 また、丸みを帯びた外構の個性的なデザインには、ある秘密が隠されているそう。実は、お子様の名前からの発想なのだとか。「打ち合わせの時に子どもの名前を聞かれたんです。上が航琉、下が瑞季と答えると、2人に共通していた王へんをデザインに取り込みましょうって、その場でさらさらとイメージデッサンを描いてくださいました。感激でしたね。後から生まれた3人目も、王へんにこだわり瑛都と名付けました。親の自己満足ですけど(笑)」と、奥様が嬉しそうに語られます。
 


 さらに、玄関前のシンボルツリーにもこだわりがあるご様子で「瑞季にちなんでハナミズキをシンボルツリーに選びました。花が咲くと“瑞季ちゃんが咲いた”って、娘も大喜び。いつかお嫁に行っても、この木を心の中で大事に育ててくれるんじゃないかって、親は勝手に期待してるんですけど(笑)。庭の完成の最後にこの木を家族みんなで植えさせてもらったので、子どもたちにも特別の思い入れがあるようです」と教えてくださいました。シンボルツリーは夜になるとライトアップされ、クリスマスにはイルミネーションに彩られるそうです。


 庭は“家の顔”だとおっしゃるご主人。確かにS様邸のエクステリアからは、ご家族の表情や絆がうかがえます。「パセリデザインさんにお願いして、本当に良かったですよ。完全オーダーで、住む人間のことを第一に考えてくれる。イメージを何となく伝えれば、どんどんアイデアを出してきてくださるんです。住宅には曲線をふんだんに取り入れていたので、外構も曲線的なデザインでうまくコーディネートされているでしょう?そう言えば、カーブのついたアプローチの階段にライトが内緒で仕込まれていて、完成後帰宅した時にびっくりさせられたというサプライズもありましたね(笑)。本当に“お楽しみ”が多かった気がします」

 



 完成から2年、芝の定着が悪い部分を張替えしてもらったり、庭の手入れ方法についてアドバイスをいただかれたりと、パセリデザインとは今だにお付き合いがあるそうです。「家はある意味建てたら終わりですけど、庭はちがいますよね。季節や経年によっても変化しますし。それだけに家よりも愛着があるかな(笑)。完成してからもメンテナンスや相談に応えてくださるのでありがたいです」
 見事に茂った芝で、コオロギやバッタを追いかけるお子様たちの生き生きとした姿が印象的でした。タイルで描かれた「王」の字に、シンボルツリー。素敵なお庭と一緒に、3人のお子様もすくすくと成長されることでしょう。

 
[取材レポート:竹岡 絵美 ]
 

花火があがる玄関前



 静かな新興住宅地にたたずむスパニッシュ様式のお宅。南欧の雰囲気が漂うお庭に配された石組みが、ご近所でもひときわ目を引きます。細くやわらかな曲線のアプローチに導かれて玄関の手前まで来ると、今度は何やら不思議なモノに出会いました。これは…小さな植物があふれるように植えてある壷にガラスの照明がありました。足元へ目をやると、この壺を中心にして、丸みを帯びた小石が散りばめられています。何と独創的な…。どんな方が住まわれているのか、ワクワクしながらインターフォンを押しました。
 迎えてくださったのは、はつらつとした若さいっぱいのK様ご一家。ご夫婦ともに花火などの火薬をつくる企業へお勤めと伺った瞬間、壺から放射状に埋め込まれていた小石が脳裏に浮かびました。もしやと思い質問を投げかけると「そうなんです。花火のイメージなんですよ。パセリデザイン魚住さんの提案です。面白いでしょ。うちの会社は花火を作っているわけではないんですけどね(笑)、世界中どこを探してもうちにしかない自慢の庭ですよ」とご主人。日が暮れて壺のライトが灯ると、ガラスからキラキラした輝きがあふれ出し、夜の庭を美しく演出します。

  



さらにこの壺は、機能的な役割も果たしていました。内壁をつくらずに庭に解放感を持たせた反面、見えやすくなってしまった玄関への視線を、存在感ある壺が一歩手前で引き留めます。「道路に面した南側の壁が一部分だけ石組みになっているのも、南向きにあるリビングへの視線をそこに逃がすためなんです。デザインだけじゃないところが、さすがですよね。おかげで家の前の人通りも気になりません」と、奥様も大満足のご様子です。
 しかしながらマイホームの建築を決めた当初は、実はもう1社、エクステリア業者の競合があったそう。ご夫妻は当時の経緯を「予算的に手頃だったし、こちらが言った通りに図面を仕上げてくれたんですけど…素人の意見をそのままっていうのはちょっと。それって、どこまでいっても私たちのイメージを超えないんですね。その点パセリデザインさんの提案には、アッと言わされましたよ。“花火”もそう(笑)。ここに任せればオンリーワンの庭になる、少々お金がかかってもお願いしたいって思いました」と明かしてくださいました。 
 
 
 

 パセリデザインのセンスに惚れ込んだというお二人。施工中は毎日欠かさず現場を訪れたと言います。「私たちとの会話やイメージからいったいどんな形ができ上がるんだろう?って、とにかく楽しみで仕方なかったですね」(ご主人)「ある日現場に来てみたら、大きな庭石を宮田さん自らが組んでいらっしゃって。それだけでも驚いたんですけど、一度きれいに組みあがった石を、イメージと違うからってまた最初から組み直されたんです。あの時は本当に感動しました」(奥様)


 
 
 


 また、夫婦共働きのご夫妻は、仕事を依頼するにあたって、パセリデザインへある条件を出していたそうです。それは、「手入れの要らない庭」。つまり、植物を極力少なくして欲しいとリクエストしたのです。ところが、見ての通りK様邸のお庭には、四季折々に花をつける木々、ブルーベリーなどの果樹、駐車スペースは芝生と、グリーンがいっぱい。植物のセレクトと低コストの自動散水システムの活用で、グリーンがあってもまったく手のかからない庭を、実現してしまったのです。「庭にこんなに癒やされるなんて、実際に暮らしてみるまでは思いもしませんでした。花やガーデニングに興味も湧いてきて。でも、いまだに鉢植えしかさせてもらえないんですよ。せっかく宮田さんたちがつくった庭だから勝手に手を加えてくれるなって、主人に叱られるの(笑)」
 笑顔の絶えないK様ご一家。この夏はお庭のブルーベリーが鈴なりに実ったそうです。お次は腹ぺこあおむし君に葉をかじられてしまったレモンの木が、すくすくと育ってかわいい実をつけ、息子さんを喜ばせてくれるといいですね。
 
[取材レポート:竹岡 絵美 ]